子どもの脱水症状サインと対処法|嘔吐・下痢・発熱時に家庭でできるケア【看護師解説】

お役立ち情報, ご紹介

子どもは大人に比べて体内の水分量が多く、体調不良の際には、あっという間に脱水になることがあります。特に嘔吐や下痢、発熱を伴うと水分の消耗が激しく、気づいたときには重症化しているケースも。

今回は看護師の視点から、子どもの脱水症状のサインと家庭でできるケア方法をわかりやすく解説します。早めに気づき、適切に対応するための実践的なポイントを押さえましょう。

子どもの脱水症状とは?

脱水症状とは、体内の水分と電解質(ナトリウム・カリウムなど)が不足して体の機能に影響が出る状態を指します。子どもは体重に占める水分割合が高く、代謝も活発なため、大人より短時間で脱水になりやすいのが特徴です。嘔吐や下痢、発熱で水分が失われると、特に乳幼児は進行が速くなるため、日常からサインを見逃さないことが重要です。

脱水の早期サイン — 見逃さないチェックポイント

家庭で簡単に確認できる脱水のサインをまとめます。複数当てはまる場合は注意して観察してください。

  • 尿量の減少:オムツが長時間濡れていない、トイレの回数が極端に減った、尿の色が濃い。
  • 口・唇の乾き:唇がカサカサ、舌や口の中の粘膜が乾燥している、泣いても涙が出ない。
  • 活気の低下:ぐったりしている、遊ぶ気力がない、反応が鈍い。
  • 皮膚の張りの低下:皮膚をつまんで離したときに戻りが遅い(=皮膚回復時間の延長)。
  • その他:手足が冷たい、頻脈(脈が速い)、食欲不振。

これらのサインは軽度〜中等度の脱水で見られることが多いですが、症状が進むと意識障害や血圧低下など重篤な状態に移行する恐れがあります。早めの発見と対応がカギです。

家庭でできる脱水予防と初期対応

軽度〜中等度の脱水であれば、家庭での適切な水分補給や環境調整で改善することが多いです。以下は実践しやすい対処法です。

経口補水液(ORS)の活用

脱水が疑われるとき、まず有効なのは経口補水液(ORS:oral rehydration solution)です。市販のORS(例:OS-1等)は電解質バランスが調整されており、小児の脱水補給に適しています。少量ずつ、こまめに与えるのがポイント(例:5〜10mlを数分ごと)。一度に大量に飲ませると嘔吐を誘発することがあるので注意しましょう。

代替の水分(嫌がる場合の工夫)

経口補水液を受け付けないときは、薄めた麦茶、薄めた果汁、スープ(塩分控えめ)など温かくて飲みやすいものを少量ずつ与えます。赤ちゃんは粉ミルクを薄めて与えることもありますが、脱水が疑われるときは粉ミルクの濃度を変えずに、少量ずつ頻回に与える方が安全です。

食事の工夫

嘔吐・下痢があるときは消化にやさしい食品を選びます。おかゆ、すりおろしたりんご、バナナ、うどんのだし汁などがおすすめです。脂っこいものや刺激の強いもの、乳製品は避けた方が無難です。

室内環境の調整

室温を適度に保ち、湿度管理(加湿)で口や喉の乾燥を防ぎます。発熱がある場合は薄着や体温調節で過度な発汗を抑え、熱が高いときは医療機関の指示に従って冷却を行ってください。

脱水で受診すべき目安(迷ったら受診)

次のような状況があるときは、早めに医療機関へ相談・受診してください。特に乳幼児では迅速な判断が重要です。

  • 半日〜1日以上尿が出ていない(オムツが乾いたまま)
  • ぐったりしていて、呼びかけに反応しない・反応が非常に鈍い
  • 繰り返す嘔吐で水分がまったく摂れない
  • 血便や血尿、激しい腹痛がある
  • 高熱(解熱しても様子がおかしい)、痙攣がみられる

上記に当てはまらなくても、不安が強い場合は小児科に電話相談するか受診してください。早めの受診で点滴治療(静脈補液)などが必要になる場合もあります。

看護師から見た実践的アドバイス(家庭での観察ポイント)

家庭での観察は「変化」を見ることが重要です。以下を時間ごとにチェックして記録しておくと、受診時に役立ちます。

  • 飲めた量(何ml、何回)
  • 嘔吐の回数・性状(食べたものが出るか、胆汁様か)
  • おしっこの回数と色(日付と時間でメモ)
  • 体温の推移と熱の操作(解熱剤の使用の有無)
  • ぐったり度や反応の変化(普段との比較)

メモを持って医療機関に行くと、医師や看護師が状態を把握しやすく、的確な処置につながります。

託児所そよかぜでの対応(体調不良児対応型保育)

名古屋市中区の託児所そよかぜでは、看護師や保育士が連携して見守りを行っています。登園時の問診や、病児対応の際には保育中の細やかな診察、体調変化がある場合の早期対応が特徴です。必要に応じて保護者へ連絡し、そのまま受診が必要な場合は速やかに医療機関につなげます。

詳しいサービス内容や利用条件については、体調不良児対応型保育の案内ページをご確認ください。

体調不良児対応型保育について

よくあるQ&A(家庭での実践編)

Q1:嘔吐しているとき、すぐに飲ませてもいい?

A:嘔吐が激しい場合はまず落ち着かせ、嘔吐が一段落してから少量ずつ(5〜10ml)与えます。一度に大量に与えると再嘔吐の原因になります。嘔吐が収まらない・頻回に続く場合は受診を検討してください。

Q2:経口補水液はいつから使える?

A:生後間もない赤ちゃんの場合は医師に相談してください。離乳が進んでいる乳児や幼児では、市販の経口補水液を薄めずに少量ずつ与えるのが一般的です。商品によって乳児への使用推奨年齢が異なるため、ラベルを確認しましょう。

Q3:脱水が心配なときに家庭でやってはいけないことは?

A:大量の水や薄めすぎたミルクを一度に与えること、自己判断で高用量の解熱剤を連用すること、症状を放置して様子を見るだけにすることは避けてください。不安があれば速やかに医療機関に相談を。

まとめ

脱水は子どもにとって進行が速く、見逃すと重篤になりかねません。日常から「尿の出方」「唇の乾き」「活気(=普段と違う様子)」をチェックし、経口補水液や少量頻回の水分補給、食事・環境の工夫で早期に対応しましょう。状況が改善しない、あるいは重いサインがある場合は迷わず医療機関を受診してください。

また、育児を一人で抱え込まずに相談することも大切です。託児所そよかぜでは体調不良児対応型保育を提供し、看護師と保育士が連携してパパママの安心・お子さんの安全を守ります。必要なときに頼ってくださいね!

(参考・備考)本記事は看護師の臨床経験に基づく一般的なアドバイスです。個別の症状や状態については、必ず医療機関での診察を受けてください。

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